研究と開発

NO-219[精素学]  未 来 元

未来を知っていれば苦労はない。其の反面未来を知っていれば楽しみが無い等、これはどちらも合っている話である。未来を分かっていれば苦労をしない、このことは人間無駄な生き方が多いと言うところから出た話である。これから自分がしたいことが成功率が有るか無いか、相手と付き合って旨く行くか行かないか、自分は何時何処で死ぬのか、これを確実に分かればそれに合わせて行動をするので無駄な生き方をしなくても良いということではないか。だがその反面、未来を分かっているから苦労をする。これも一理有る話だ、自分がやりたい目標が有って、その目標を果たすにはいろいろな経験が必要であり、そして忍耐も必要である。現在自分の立場から見たとき、人より何倍も努力しなければならない、そのために体力も必要であり技術も必要だ。そして哲学を得るには一生研究が必要になる。そのようなものを先ず体験してこそ成功率が有るので苦労をする必要があるのだ。なるほどこれも一理有る話しだ。前者は楽をして成功を望むものであり、後者は苦労をして体験を得成功をしょうとするものである、ではこの二者に対して成功率はどうだろうか、これを%で現すとこうなる。先見での効率は10%位だと言うことだ。先を知るということは、仙人とか道人以外は知る予知のないもので素人が分かる筈がない。それを自分勝手にきめ付けて、やるべきことをやらなかったり、やるべきでないものをやったりして人生。発展の妨げになる率も高い。だが仙人道師になれば先見の知で成不成をはっきり判断して行動をするので成功率は確実になるのである。では道師はどのようにして先のことを知ることが出来るのだろうか。これは勿論苦労から現われた賜物で有る。人間界での最高たる苦労、その道を得、先見が明になるので楽から前知は得られないことになる。苦は楽を生み、楽は苦を生むと言う話しだ。人生楽をしようと思ったら最初から間違いになるのである。つまり苦行楽道。人間苦の中で楽を得なければならないと言うことである。人間は未来の楽を求めるので失望するのであり、自分は始めも終わりも苦労をするのだ。人間一生楽というものは無いのだ。楽の上には苦労が何時までも待っているのである。してみれば成功というのは、楽を求めるのでなくもっと辛い苦を求めるということになる。皆は大金持ちとか大統領になれば楽と思うがそれは大間違いである。人間は大ものになる程人間の真の美を無くし、偉くなる程孤独になり庶民の生活が恋しくなるのである。人間は現在をいかにして充実にして生き、楽しんで行くかが未来に繋がるものである。これを未来元という。

著 力 抜 山