N0-68[精素学] 三 大 心
外考心、内考心、中介心、これを三大心という。これら三大心の働きによって、各々の人に性格があれば個性もあるのだ。外考心は体外での対応心で、これによって正と善、美、道徳、交渉、社交、団結等が成立するのであり、内考心によって愛情、欲、性、罪、権、名等がつくられ、中介心によって和、解、安、均、平、などが成立するのである。これを別の形で述べると外考心から公的なものが成り立ち、内考心から利己的なものが成り立ち、中介心から公利的なものが現れるのである。これらの三大心の強弱によって、人格が成り立ち信用が成立するのだ。では、これらの三大心の特徴を述べて見る。つまり外考心の強い人は正を主張するので、その心は大変かたく、何ものかに於いて一筋一本道で社会的人気をあびる人物になり、英雄的思想の持ち主でもある。陰陽でいうと、プラスに相当するのだ、内考心は殆ど外柔内剛で、人との付き合いには大変柔らかく優しいものであるが、利己的個性を持っており大変利口で全てがある欲によって固まったものである。このようなタイプの人に犯罪が多く、お金持ちも多いのだ。つまり二重人格の持ち主ともいえよう。これを陰陽的にいうとマイナスに相当するのである。何れにしてもこれらの両心は、相対的なもので、時と場合によっては、それぞれ逆反応的な行動をおこす危険な人物になるのである。即ち英雄は公的殺人をするものであれば、内考的な人は私的殺人をするのである。これを大きく分けると外考心も内考心も一つのものでただ表に出すか出さないかの差だけなのである。ある人言わく、たくましくて男らしいところがあるという。だがその男らしい内側には恐ろしい邪気が潜んでおり、反面、大変おとなしく優しい人であっても、内側では人にわからない怖さが潜んでいるのだ。これを見ても男らしくて大胆な人も恐ろしいものであり、優しくて美しい人も危ないのである。ではどんな人がよいのだろうか。それはいうまでもなく中性の人で強くもなければ優しくもない人で常に平凡な方がよいのであるが、これにも欠点があって、意志力に欠け勝負を避け、浮遊的で、やるのでもなければ、やらないでもない、ただ平凡そのもので、家庭的にも下手でお金稼ぎにも不まじめで苦労するものであり、これら中性人は一生成功率が少ないのである。して見ると人間の心に優秀たるものは一つもないことになる。
著 力 抜 山